単一声部でも和音が聞こえる!?

こんにちは!

今回は、音楽を理解するうえで必要な、和音(ハーモニー)の話をしていきます!

はじめに

チェンバロやピアノは単一の楽器で複数の音を、そしてハーモニーと奏でることができるため、和声楽器と分類されることがあります。

では、フルートやクラリネット、歌声のように、単一音を奏でることを基本とする楽器はハーモニーを奏でることはできないのでしょうか?

この記事では、単一音を出す楽器にとってのハーモニーとは何かについての考察を通じて、チェンバロにおける多声音楽の演奏方法について一案を出していきたいと思います。

グレゴリオ聖歌の楽器?

グレゴリオ聖歌というものはご存じでしょうか?

楽譜のシステムが発明されたきっかけとして、グレゴリオ聖歌をご存じの方もいらっしゃるかと思います。

グレゴリオ聖歌は、教会の中で、また、聖歌というくらいですから、神様のために演奏されていました。

また、グレゴリオ聖歌は単一声部によって、つまり、同時に他の音が発音されない前提で作曲されている曲です。

文字で書くより、聴いた方が分かりやすいので、ひとつ、YouTubeのリンクを紹介いたします。

ここで着目してみたいのは、この「残響」です。

声という楽器は、確かに単一音を発することを基本としていますが(実際にはたくさんの倍音が鳴っていますが・・・)、教会という箱で演奏することで、残響を得ています。

残響とは、事前に発音された音波が壁などに反射し、可聴な音量の範囲で、再び耳に入る際に音として認識されるものです。

この「教会で演奏される単音」という観点で考えると、声という楽器から発せられる音自体は単音であっても、教会が残響を保持する限り、耳に入ってくる音は和音なのです。

つまり、グレゴリオ聖歌は声で奏でる音楽として記譜されていますが、その実態は声と、そして教会の残響からなるハーモニーを担保した音楽なのです。

「演奏」は楽器+会場で考える

グレゴリオ聖歌の例を踏まえると、譜面上は単音しか聞こえないように見えていても、実際はその会場の残響も含めて音楽なのです。

残響は決して開場だけのものではありません。

箏やギター、ヴァイオリンなど、弦を張っている木箱に穴が開いているのを見たことがある方は多いかと思います。また、オルゴールをご存じでしょうか。オルゴールも音を出すパーツが格納された箱に、外部から空気が出入りするくらいの穴や隙間が開けられていることでしょう。

これらは、弦などから発せられる音を箱などで閉じ込めて共鳴させ、音波を増幅させた状態で外部に発せられるためにこのような仕組みになっているのです。

そして、この隙間を備えた木箱などは、木箱そのものが乾燥した木材や、硬質な金属で作られることで振動しやすいという特性を持っています。

つまり、一度奏でた弦などをミュート(手などで押さえて消音すること)したとしても、楽器自体が残響を保有しているということになります。

もちろん、楽器によっては人の声のように、発音する主体やその周辺のモノ(人)が残響を保有しにくいものもありますが、以上のことを踏まえると、楽譜自体は単音であったとしても、演奏自体はハーモニーが生まれるということになります。

今回は以上です! ありがとうございました!

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